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第754話
数回の呼び出しのコールの後、懐かしい声が聞こえた。
「Hello!ノゾミ!どうだ?落ち着いたか?」
「ユータ…俺の方がメンタルやられてるみたいなんだ…」
「そうか…トーマはどうしてる?」
「新年の挨拶回りに飛び出していったよ。
アイツはタフだ。
俺よりもずっと、ずっと強くてしなやかだ。」
「トーマの負の部分をノゾミが全部吸い取ったんだよ、きっと。
トーマの病んだ部分をノゾミが浄化したんだ。
だから、トーマは元気で動けるんだ。
お前はお前の役割をちゃんと果たしてるんだから落ち込まなくてもいい。」
「ユータ…」
優しい親友の思いやりのこもった言葉に、思わず涙が出てきた。
嗚咽で言葉の出ない俺に、ユータは
「我慢しなくていい。思い切り泣けばいい。
遠く離れていても、俺とマイクはお前の側にいるから。」
「…っ…ユータ…っく…」
斗真を傷付けた自分が未だに許せなくて、後悔の塊になっている。
斗真の前では虚勢を張っているけれど、俺は泣きたかった。
斗真が俺から離れて行きそうで怖くて怖くて、身体を寄せ合い抱きしめ繋がることで、その不安から逃れようとしていた。
途切れ途切れに語る俺の話をユータは時間をかけてゆっくりと聞いてくれた。
話しているうちに俺も落ち着いてきて、最後の方はいつもの軽口が叩けるようにまでになった。
「ノゾミ、トーマはお前のお陰で、もう大丈夫だよ。
だから、お前が辛い時は、いつでも電話掛けてこいよ。
それでさ、マイクと『桜が咲く頃に行こう』って計画立ててるから、その時は案内頼むよ!」
「分かった。
ありがとう、ユータ。
マイクにもよろしく伝えてくれ。」
「OK!アイツは今日夜勤だからいないんだよ。
ちゃんと伝えておくから。
ノゾミ、ヨメには甘えていいんだぞ。
じゃあ、またな!」
「あぁ。またな!」
洗いざらいぶちまけた、妙な達成感に包まれて電話を切った。
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