756 / 1000
第756話
「微熱…かな。
具合悪いのに無理しやがって…お前の体調不良に気付かなかった俺も悪いんだけど。」
どうやらひとり言のようだ。
ドキドキするけど黙って聞くことにした。
「ちょっと構わなかったくらいで拗ねて、挙げ句の果てに具合を悪くするなんて。
お子ちゃまかよ。
お前、どんだけ俺のこと好きなんだよ。
…平日は、次の日のことが気になって、集中できないし、動けなくて何日も寝たきりになったら困るじゃないか。
腰をやられたら、マジで起き上がれないんだ。
分かってるだろ?
今までだって、何度も痛い目に遭ってるじゃないか。
受け入れる方はそれなりに大変なんだぞ。
でもさ、本当は俺だって…お前とイチャイチャしたい。
抱いてほしいし…抱きしめたい。
思い切り理性を吹っ飛ばして愛し合いたい。
…お前に触れていないと、あの時のことを思い出して怖くなる時もある。
けど、そんなこと言ったら、お前…また自分を責めるだろ?
希がいてくれるから俺は強くなれる。
側にいて『愛してる』って言って、抱きしめてくれるだけで、勇気が湧いてくる。
だから…立ち直ることができた。
お前が思ってる以上に、俺はお前に執着してるし甘えてるんだ。
それくらい、分かれよ。ばか。
希…愛してるよ。」
そう言って、おでこにキスをすると、また音を立てないようにそっと出て行ってしまった。
俺の心臓はバクバクと破裂しそうに跳ねて、呼吸困難になりそうだった。
今の…今のは…キタ。ヤラレタ。
完全に俺の負けだ。
何だよ…俺、メチャメチャ愛されてるじゃん!
斗真が“竹中さんに惹かれてる”なんて妄想してごめん。
ともだちにシェアしよう!