757 / 1000

第757話

俺は布団を跳ね除け、急いで斗真のあとを追った。 「斗真っ!」 「おわっ…びっくりした…ただいま、希。 おまっ…お前、まさか…起きてたのか?」 真っ赤な顔の俺に気付いた斗真は、バツが悪そうに尋ねてきた。 そして、斗真を真っ直ぐに見つめたまま こくこくと頷く俺に、怒鳴った。 「ばかっ、起きてるんなら起きてるって言えよっ!」 俺以上に真っ赤な顔で怒鳴る斗真を思い切り抱きしめた。 「斗真…ヤキモチ焼いてごめん。 挙句に体調悪くなってごめん。」 ゆっくりと背中に手を回され、抱きしめ返された。 どのくらいそうしていたのだろう、無言の抱擁が続いた。 暫くして少し身体を離し、おでこをコツンとくっ付けてきた斗真がささやいた。 「…ばか希。恥ずかしいじゃんか。 でも…あれは俺の正直な気持ちだから。」 「うん。ごめん。」 「俺が、お前以外の誰かに目移りするなんてあり得ないだろ?」 「…うん。でも…」 「あれは単なる感想で、何の意図もない。 “誰かを愛して愛されてる”って、あんなに凄い自信に満ち溢れてるんだな、って感動してただけだ。 …(はた)から見たら俺達もそう見えるのかな、って。」 「斗真…」 勝手にヤキモチ焼いて、勝手に体調を崩した俺が馬鹿みたいだった。 「希…お前は俺に愛されて、俺を盲目的に愛して甘やかせよ。 …お前しかいらないって言ってるだろ。 ばか希。」 俺はもう、いろんな思いがぐちゃぐちゃになって溢れて、ぼろぼろ涙を零していた。 斗真は指でその涙をそっと拭ってくれた。 「もう…体調はいいのか?」 こくこくと頷くと、斗真は男らしく言った。 「セックスしようか。」

ともだちにシェアしよう!