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第761話

「第一、お前って病人だろ? 具合悪くって早退したヤツが、何やってんだよっ!」 「だって…斗真が誘ったんだろ?」 「…え?」 「『セックスしようか』って。」 途端に、斗真は真っ赤になり、オロオロと視線を泳がし始めた。 呆れた。 自分が誘ったことも覚えてないのか? 忘れたとは言わせないぞ。 「言ったよな?そんで俺の手を取って寝室に連れて行ったよな? 『特別だ』って、勝負パンツも穿いてくれたよな?」 俺は斗真に見せつけるように、足首に絡まった白い布切れを引っ張った。 「あ…それは…えーっと……その…」 ついには黙りこくって両手で顔を覆ってしまった斗真。 別に苛めてる訳じゃないぞ。 指からはみ出した耳はもう真っ赤だ。 かわいい。かわい過ぎる。 俺はそっと斗真を抱きしめると、その耳元でささやいた。 「俺は物凄くうれしかったんだ。 具合の悪い俺を気遣って一緒に連れて帰ってくれて。 あんな熱烈な思いを伝えてくれて。 おまけにご褒美エッチまで。 こんなかわいいことされたら熱があっても吹き飛ぶよ。 いや、体調がどんなに悪くても、俺はお前を抱きたい。 …愛してるよ、斗真。 だから、続き…させて?」 「…そんなこと…聞くなよ、ばか。 さっさと俺を愛せ。」 両手で塞がれてくぐもった声は半泣きに聞こえ、きっと涙目になってるであろう斗真の顔を見たくて、俺はそっとその手を外した。 薄っすらと水の膜を張った瞳は美しく潤んで、俺をじっと見つめていた。 「斗真、全身全霊で愛してるよ。」 斗真は目を大きく見開いた後、口元に微笑みを(たた)えながら言った。 「負けないくらいに愛してるよ。」 それを合図に、俺は斗真の唇に吸い付いた。

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