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第763話

頭を撫でられ、あやすように背中をトントンと撫でられているうちに、涙も止まった。 まだ、ぐしぐしと鼻を啜る俺に、斗真は 「もう…分かってるから泣くな。」 と、頭を撫で続ける。 情緒不安定。 自分でもオカシイと思っている。 異常な程の、斗真への執着心と依存。 それを愛情へとすり替えて身体を繋げたがり、斗真を感じる手段にしている。 それは、事件が拍車を掛けている…と思う。 俺なんかより斗真の方がダメージが大きかったというのに、俺は一体何をしてるんだろう。 「…斗真…ごめん。」 絞り出すようにやっと声を出した。 斗真はふっと笑い、俺のおでこにキスをすると 「希が好きなように俺を愛してくれたら、それでいい。 例えそれが側から見て、変質的でもな。 俺は変だとは思ってないから。」 あぁ、敵わない。 俺の伴侶は世界一、いや宇宙一だ! 「斗真…」 「お前病み上がりだからな。今日はここまでにしよう。 元気になったらもっと俺を愛せ。」 とまぁ、何とも男前な発言をして笑う斗真が愛おしくて…また少し泣いた。 斗真はそんな俺をずっと抱きしめてくれていた。 いつの間に寝てしまっていたのか、ふっと目が覚めると、日は陰り空は薄っすらと茜色に染まり始めていた。 目の前には愛しい男の胸があり、肩は優しく抱かれたままだった。 「…斗真…」 「目ぇ覚めたか?お腹空いてないか? 何か作ってくるから待ってて。」 そう言って俺にキスすると、脱いだ物を身に付けキッチンに行ってしまった。 泣きながら寝てしまったのか… 額に手をやると、もう熱も下がっていて、情けなくもお腹がグゥと鳴った。

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