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第767話
いつもなら、布団に潜る斗真を俺が抱きかかえて眠る。
でも、今日は。
先に俺を布団に押し込め、斗真が俺を抱きしめる。
何も喋らない。
ただ、抱きしめられて、愛おしげに背中を撫でられるだけ。
お揃いのガーゼのパジャマに籠る、フレグランスを纏う体臭が、少し身動ぎする度に押し上げられ、鼻先を擽る。
身体の奥に溜まりつつある欲望に気付かぬフリをして、じっと抱かれている。
そのうち、焦れたようにキスの雨が顔に降ってきた。
「…擽ったい…」
うれしくて堪らないのに、ワザと邪険な言い方をする。
「ごめん。でも希がかわいくて。」
気恥ずかしくて黙っていると、キスが止んでしまった。
何故?
戸惑いながらそっと目を開けると、斗真の瞳と打つかった。
薄っすらとカーテン越しに月明かりが差し込み、その光を反射して瞳がキラリと光った。
涙!?
「…斗真?どうして、泣いてるんだ?」
そっと手を伸ばして、目尻に溜まる雫を指先で拭き取る。
「…分からない。何でだろう。
きっと、お前のことを好き過ぎて堪らないんだよ。
お休み、希。愛してるよ。」
鼻先にキスした斗真は、バツ悪そうに笑うと目を閉じた。
「斗真…寝ちゃうのか?」
物足りなさに思わず声を掛けると
「明日も仕事だろ?イイ子で寝るぞ。
…ぎゅっ てして寝るか?」
「うん!」
俺は嬉々として着ている物を脱ぎ、布団から蹴落とした。
斗真はそんな俺を呆れたように見ながらも、さっさと脱いで俺を抱きしめてくれた。
斗真の匂いに包まれる。
ほぉ…っと満足した吐息が漏れてしまう。
熱い塊を斗真の腰に擦り付ける。
「っ…こらっ!希っ!」
「何もしなくてイイから…こうさせて…」
「…何もしないぞ。」
いいから、と答えて隙間もない程に密着する。
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