775 / 1000

第775話

結局、最後のひと匙まで斗真に食べさせられた。 「希、おいで。歯磨きしなくちゃ。」 また手を取られて洗面所に連れて行かれる。 はい、と渡された歯ブラシを受け取り、並んで同時に歯磨きスタート。 順番に口をゆすぎ終えると、また手を取られてベッドルームに連れて行かれた。 俺を先に布団へ押し込んで、また後から潜り込んできた斗真に抱きしめられる。 「このままでいい?それとも裸でぎゅってする?その代わりエッチはなしだぞ?」 「…裸でぎゅっ…」 斗真は、俺のパジャマを先に脱がせ下に落とし、自分もベッドの下に脱ぎ捨てた。 「はい、希。おいで。」 母親が子供を抱きしめるように、ふわりと包まれ、頭を撫でられる。 全く子供の扱いじゃないか。 でも…それが嫌じゃない。むしろ、うれしくて堪らないのは何故なんだろう。 胸元に頬を擦り付け、ぴったりとくっ付いて、斗真の匂いを胸一杯に吸い込む。 俺自身の昂りを感じるが、いつものような『斗真を抱きたい』という性的な欲求よりも、こうやって頭を撫でられ、優しく抱きしめられている方が、今は…満足する。 ヤり過ぎて枯れ果てたのだろうか。 この年で!? いや、俺は斗真を愛してるから、それは無い! けれども、“もっと優しく抱きしめてほしい”“もっと撫でてほしい”“いい子だ って言ってほしい”という思いが溢れ出て、俺は斗真にそれらを強請っていた。 斗真は嫌がりもせず、俺の要求通りにしてくれた。 ささくれたドロドロの汚い感情が、清められて流れ出していく気がする。 そして 「目一杯甘えたくてしようがない。」 と告げると、笑いながら 「好きなように甘えてこい。 何でもしてやるから。」 と言ってくれた。

ともだちにシェアしよう!