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第775話
結局、最後のひと匙まで斗真に食べさせられた。
「希、おいで。歯磨きしなくちゃ。」
また手を取られて洗面所に連れて行かれる。
はい、と渡された歯ブラシを受け取り、並んで同時に歯磨きスタート。
順番に口をゆすぎ終えると、また手を取られてベッドルームに連れて行かれた。
俺を先に布団へ押し込んで、また後から潜り込んできた斗真に抱きしめられる。
「このままでいい?それとも裸でぎゅってする?その代わりエッチはなしだぞ?」
「…裸でぎゅっ…」
斗真は、俺のパジャマを先に脱がせ下に落とし、自分もベッドの下に脱ぎ捨てた。
「はい、希。おいで。」
母親が子供を抱きしめるように、ふわりと包まれ、頭を撫でられる。
全く子供の扱いじゃないか。
でも…それが嫌じゃない。むしろ、うれしくて堪らないのは何故なんだろう。
胸元に頬を擦り付け、ぴったりとくっ付いて、斗真の匂いを胸一杯に吸い込む。
俺自身の昂りを感じるが、いつものような『斗真を抱きたい』という性的な欲求よりも、こうやって頭を撫でられ、優しく抱きしめられている方が、今は…満足する。
ヤり過ぎて枯れ果てたのだろうか。
この年で!?
いや、俺は斗真を愛してるから、それは無い!
けれども、“もっと優しく抱きしめてほしい”“もっと撫でてほしい”“いい子だ って言ってほしい”という思いが溢れ出て、俺は斗真にそれらを強請っていた。
斗真は嫌がりもせず、俺の要求通りにしてくれた。
ささくれたドロドロの汚い感情が、清められて流れ出していく気がする。
そして
「目一杯甘えたくてしようがない。」
と告げると、笑いながら
「好きなように甘えてこい。
何でもしてやるから。」
と言ってくれた。
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