779 / 1000
第779話
あんなの…聞かれてたなんて…
嘘偽りのない、俺の本心。
だから、小っ恥ずかしくっても、隠したりしない。
希…俺は本当にお前を大切に思ってるし、愛してる。
俺も、俺が思う以上に、希に大切に思ってほしいし、愛してほしい。
贅沢かな。
暫くして少し身体を離し、おでこをコツンとくっ付けてささやいた。
「…ばか希。恥ずかしいじゃんか。
でも…あれは俺の正直な気持ちだから。」
「うん。ごめん。」
「俺が、お前以外の誰かに目移りするなんてあり得ないだろ?」
「…うん。でも…」
「あれは単なる感想で、何の意図もない。
“誰かを愛して愛されてる”って、あんなに凄い自信に満ち溢れてるんだな、って感動してただけだ。
…側 から見たら俺達もそう見えるのかな、って。」
「斗真…」
希の目が潤んでいる。
何度言えば納得するんだよ!
俺が他の男に心変わりなんてすると思うのか?
あり得ないだろっ!
勝手に嫉妬して勝手に具合が悪くなるなんて、バカだ。
「希…お前は俺に愛されて、俺を盲目的に愛して甘やかせよ。
…お前しかいらないって言ってるだろ。
ばか希。」
希はしゃくり上げながら、ぼろぼろ涙を零していた。
何をそんなに不安に思ってるんだよ。
お前だけだって。
情けないところも、すぐ拗ねるところも、意外と泣き虫なところも、そんな希は俺だけしか知らない。
他の誰にも見せない。見せたくない。
おい、イケメン崩壊だぞ。泣くなよ。
俺は、指でその涙をそっと拭ってやった。
「もう…体調はいいのか?」
希が頷くのを確認して、高らかに宣言した。
「セックスしようか。」
ともだちにシェアしよう!