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第783話

水上は、えぐえぐと泣きながら 「そんな…即答しなくても…」 「問答無用。 それに俺ん家には大切な伴侶が住んでるからな。 俺一人の意見では決められない。 それに。 そんな不倫の真似事するような奴を泊める部屋はない。」 「遠藤くーーーん!」 「ネカフェが嫌ならカプセルホテルに行け。 お前には一切同情しない!この馬鹿者が!」 「…冷たい…」 「当たり前だ、ばーか。嫁さんの気持ちも考えろ! とことん落ち込め!」 カップに残った冷めたココアを飲み干すと、俺は、まだぐちぐちと愚痴る水上を残して席を立った。 空のカップをゴミ箱に投げ込んだ。 胸糞悪い。 何が『ちょっとした遊び』だ。 ふざけるな。 アイツのせいでムカムカする。 部屋に戻ると みんな出掛けていて、希だけがいた。 「斗真、どうした?眉間にシワ寄ってるぞ。 水上は?話、何だったの?」 「…アイツ、受付のマリちゃんと浮気してやがったんだ。 家を追い出されたんだと。自業自得だよ。 それで、俺達の家に泊まらせろ、って言うから即却下してきたとこ。 あー、ムカつく!」 「よりによって“あの”マリちゃんか。 なーに考えてんだか、あのバカ。 …奥さん、気の毒にな…」 「だから!アイツが何を言ってきても同情しなくていいし、ましてや泊めてなんかやらないからっ!」 「当たり前じゃん。 いくら部下でも、それは許せない。 どの面下げて俺達に『泊まらせろ』なんて言えるんだ。バカも休み休みに言えよ。」 「そうだろ? 大体、結婚してて、愛する伴侶がいて、それで浮気するなんてあり得ないっ! それにアイツ『ちょっとした遊び』って言いやがった。 理解不能。」 「斗真、落ち着け。」 希がそっと俺を抱き寄せて背中をとんとんと叩いてくれた。

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