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第785話

水上が泣き真似をする。 「うっ…みんな…俺に冷たい…」 希が冷ややかな視線を浴びせながら 「当たり前だろ? あんな腐った女に引っ掛かるバカがいるとはな。 それも俺の部下だなんて、恥ずかしくて他の課の奴らにも言えやしない。 俺も不倫には反対だ。 責任取れないなら初めからそんなことするな。 腹括って嫁さんに謝って、それでもダメなら男らしく慰謝料払って別れてもらえ。 人を頼らず自分で始末をつけろ!以上!」 「チーフぅ…」 希はそれ以上水上に構わず、無視して何処かへ電話していた。 奴は諦めたのか、散らばった机上の書類の片付けを始めた。 全く…バカとしか言いようがない。 水上の嫁さんとは一度会ったことがあるが、アイツには勿体ない清楚な大人しい感じの人だった。 一歩下がって旦那を支えるといった風の…まぁ、あのマリちゃんとは正反対だよな。 そんなことを考えていると水上が、つつっ と寄ってきた。 「なぁ、チーフに頼んでよ。」 「何を?」 「今晩泊めてって。」 俺は瞬間頭に血が上った。 「ふざけるなっ! お前なんか泊めないって言ってるだろっ! 二度と話しかけてくるなっ!」 物凄い俺の剣幕に、水上が後退りした。 「わっ、悪かったっ!すまん! もう二度と言わないからっ、許してっ!」 「水上。」 地の底を這うような声がした。 希だ。 「お前、この件が解決するまで出社するな。 自宅謹慎だ。 ボスには俺から報告しておく。 きちんと家庭のことを考えろ。サッサと帰れ。」 がっくりと肩を落とし項垂れた水上は、何か言いたそうだったが、ぺこりとお辞儀をして帰って行った。

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