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第788話
俺はため息をついた。
「新年早々こんなことに巻き込まれるなんて…そういえば俺達、今年ってまだ厄年!?」
「あー…多分そうだ。ばっちり掛かってる。
なぁ、斗真…買い物の前に先に神社に行って、厄除けのお祓いしてもらおうか…俺は信心深い訳じゃないけど、気分的にしといた方がいいかな…」
「そうだな、新年だし。
今年は初詣も行ってなかったよな。
厄、落としてこよう。」
「ついでに破魔矢も買ってこようか。」
「希、どうした?
えらく気弱になってるぞ。大丈夫か?」
「なーんか、もう、疲れた…仕事とは違うこのしんどさ…」
「…そうだな。じゃあ、定時にダッシュで帰って、厄落としして、今夜はカニ鍋だぞ。」
なんて話をしていると、外回りに出ていた連中がどやどやと帰ってきた。
そして希の周りに集まると、口々に質問をし始めた。
「チーフ!水上、何かドえらいことになってるそうですね。」
「アイツどうなるんですか?」
「離婚ですか?」
「まさか…クビなんてこと…ないですよね!?」
興味本位と一応の心配。
何処で聞いたのか、もうそんな噂になってるのか。
あー…きっと俺達の結婚の時も、こんな感じだったんだろうな…何か凹む。
希じゃないが、気分的に早くお祓いしたい。
あからさまな野次馬根性に辟易した希は
「まだはっきりしたことは分からない。
変な噂を立てないように!
それにしても…何で帰社したばかりの君達がそんなこと知ってるんだ?」
すると瀬川が
「どこの課も、今その話で持ちきりですよ!
前々からそんな噂がありましたからね。
全く…馬鹿な女に引っ掛かったアイツが悪い。
暫く仕事にならないですよ、こんなの。」
「とにかく!プライベートなことだから、余計な噂を立てないように。
水上は出社できないだろうから、アイツの分の仕事を割り振りするから頼むよ!」
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