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第798話

翌日、出社した俺達は、すっかりやつれ切った瀬川を見て吃驚した。 「おい、瀬川どうした? あれからゆっくりできたんじゃないのか?」 「水上は追い出したはずだろ!?」 「ううっ…聞いてくださいよぉ〜… うちの嫁が『煮え切らないあなたの態度に呆れ返って言葉も出ない!そんな優柔不断な人とはこの先やっていけない』って… アイツのせいで、俺達離婚の危機なんですぅ… もう、どうしたらいいのか… チーフ…何とかしてぇ!」 「はあっ!?飛び火したのか…あーぁあ… まぁ、水上の突撃をハッキリ断らなかったお前が悪いよな。 俺は何にもしてやれない。 自分の始末は自分でつけるように。 …早退してもいいぞ。 今日のお前の仕事、どうなってる?」 「…午後から一件訪問約束があります…」 「資料早く持ってこい! そんで、直帰にして嫁さんのところに行って謝罪してこい!」 「チーフ…愛してます…」 「いや…俺は斗真だけだから。お前の愛はいらない。」 げふっ…思わずむせた。 何さり気なく惚気てんだよ。 それを軽やかにスルーした瀬川は 「ありがとうございますっ! 今、持ってきます!」 ぴゅーっ と効果音がつきそうな勢いで飛んで行った。 「…水上と瀬川と…二人分か…残業かもな。 斗真、やれるか?」 「瀬川のは一件だけでしょ?何とかしますよ。」 ため息をつきつつ答えると 「いい子だ。」 と頭をポンポンされた。 誰も見てないだろうな!? うれしく思いつつも、辺りをキョロキョロ見回すと、誰も見てないことに安堵しながら、希を見つめた。 「帰ったらご褒美にマッサージしてやるからな。」 「やった!」 アガる。まじアガる。 希はプロ並みの腕だから。

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