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第799話

ホントに人を使うのが上手いよ。 そうでないと上には行けないんだよな、きっと。 これで瀬川は益々『希信者』になった筈だ。 あー…今日も忙しくなりそうだな。 さてと、頑張るとするか。 気合いを入れて、追加になった分の資料の確認をする。 うん、これなら楽勝だ。 希はまた内線で呼ばれて出て行った。 おっと、時間だ。俺もそろそろ出なければ。 慌てて鞄を掴むと、行き先を書き加えてから、ダッシュでエレベーターに乗り込んだ。 そつなく契約を交わし、午前のノルマの件数をクリアした。 はあっ… 水上のせいで、余計な仕事が増えた。 …いや、ちょっと待てよ。 よくよく考えると、俺達だって散々有休を使いまくり、ボスを始め周囲に迷惑を掛けてきたんだよな。 お互い様。本当にそうだよ。 みんな自分の仕事を抱えながら、俺達の分をやってくれてたんだ。 文句言ってる場合じゃない。 気に食わない奴でも、俺達の仕事をカバーしてくれてたんだ。 喉元過ぎれば忘れてしまう。 してもらったことを忘れても、してやったことはいつまで経っても覚えている。 そんな考えではダメだ。 ぐぅー っと腹の虫が鳴った。 腹が減っては何とやら。 きょろきょろと辺りを見回し、雰囲気の良さそうなランチタイムの喫茶店に飛び込んだ。 「いらっしゃいませー」 愛想の良い店員に迎えられ、ほぼ満席の店内を進み、カウンター席へと案内された。 一応ざっとメニューに目を通して注文する。 「今日のランチお願いします。」 「メインを肉か魚か選べますが、どちらにされますか?」 「じゃあ、肉で。」 「はい、少々お待ち下さい。」 携帯を取り出しメールチェックする。 希からラ◯ンが!

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