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第801話

『高橋、押し付けて悪かったな。 大丈夫か? 無理なら連絡してくれ。応援するから。』 え…俺だけじゃなかったのか? 「チーフって凄いですよね! 俺、何があってもチーフについて行きますっ! …って、遠藤さん、気分でも悪いんですか? 顔色悪い…」 「…気にするな…大丈夫だ。 ちょっとショックが大き過ぎて…」 「え?何かありましたか?」 「いや、こっちのことで…とにかく大丈夫だ。 ほら、早く書類回せ。」 「はいっ!」 パタパタとうれしそうに駆けていく高橋の後姿を見ながら、俺はあんなに高揚してた気分が一気に急降下していくのを感じていた。 何だ…俺だけ特別じゃなかったんだ… そりゃそうだよな。 残った者にそれぞれ割り振りしたんだから、みんなを心配するに決まっている。 それは上司としての気配り心配りだから。 仕事中だぞ!? よく考えたら、いくら希でも公私混同する訳ないよな。 それからしばらくして次々戻ってくる奴らが口々に 「チーフってすげぇな、おれテンパってたら本当に応援に来てくれた。」 「マジか!? 俺より年下なのに、やっぱデキル奴は違うよ。」 「あのラ◯ンで元気出たわー。」 等という会話が嫌でも聞こえてきて、益々落ち込んでいった。 度量の小さな俺。 …俺だけに励ましの言葉をくれた訳ではなかったんだ。 感情の振り幅が激し過ぎる。 はあっ…とため息をつき、片付けるフリをして意味もなく書類の山を崩しては積み上げる。 「ただいま!」 希だ! 席に着いた希の周りをみんながわらわらと取り囲んでいる。 和やかな談笑。 俺はひとり…その輪の中に入れずにいた。

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