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第802話

少し落ち込み凹み、そんな自分が情けなくてまた凹み。 『希の気持ちは100%自分に向いている』と思い上がっていた気持ちをへし折られた。 上司なんだから、部下を思いやるのは当たり前のことだ。 希が色恋で愛してるのは俺だけだと分かっている。自覚もある。 だから落ち込む必要はないのに。 一緒に暮らしていても、希には希の生活のベースがあって、優先順位もある。 俺が今まで勝手に『俺が一番』だと思い込んでいただけなのに。 一度生まれたもやもやした気持ちが消えてくれない。 俺って、こんなに狭量な男だったのか。 「…うま、斗真、ぼんやりしてどうした?」 希… 「いや、何でもない。大丈夫だ。」 「そうか? 仕事、片付いたのか?終わったなら早く帰れ。 明日からもまた忙しくなるから。」 辺りを見回すといつの間にかみんないなくなっていて、俺と希だけになっていた。 「希は?まだ帰れないのか?」 「うーん、帰ろうと思えば帰れるんだが……斗真…お前… 分かった!帰ろう! ほら、自分の鞄持って!」 希は踵を返して自分のデスクに戻ると、机の上に散らかっていた書類をあっという間に片付けて鞄を引っ掴むと、ぼんやり見ていた俺の腕をとって部屋を後にした。 「うわっ、希っ、待って!」 帰社時間のピークを過ぎたのか、誰もいない廊下を希に引っ張られて つんのめりそうになりながら歩く。 エレベーターの↓ボタンを押して ふうっ と大きく息を吐いた希が、ゆっくりと俺を見た。 「…斗真、何か食べて帰ろうか。あったかい物がいいな…ラーメンなんかどうだ?」 「うん。炒飯付きで。」 「ギョーザもな!」 何か言いたげな希の瞳から逃れるように、エレベーターの階数表示に目をやった、

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