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第809話
俺の視線に気付いた斗真が
「何?何か言いたいことでもあるの?」
と聞いてきた。
それはお前の方だろ、と言いたかったがそれはグッと堪えて
「いや、本当に美味そうに食べるし、かわいいから写メ撮りてぇ…って思ってただけ。」
「『写メ』って…やだよぉ。」
何考えてんだ、とブツブツ文句を言いながら、斗真は二個目のケーキにフォークを刺した。
「だってかわいいんだもん、俺の斗真は。」
「『かわいいかわいい』連発すんな!
俺は男でお前と同い年だぞ!?
大体希は甘やかし過ぎる!
だから」
斗真は何か言い掛けて、ハッと口をつぐんだ。
チャンス!
ここぞとばかりに斗真に畳み掛けた。
「『だから』何?
ちゃんと言ってよ。言わなきゃ分からないだろ?
俺、何か斗真の気分を害するようなことした?言った?
もしそうなら教えて。
何でも話し合うって決めたじゃないか!」
フリーズして黙っていた斗真は、意を決したようにカチャ、とフォークを取り皿に置くと、俺の方に向き直った。
「…じゃあ、言うよ。聞いても笑ったり馬鹿にしたりしない?」
「うん。」
「絶対だな?」
「うん。」
はあっ、と大きく息を吐いた斗真は、一度俯いて顔を上げると
「今日、連絡くれただろ?」
「うん。」
「あれ…うれしかったんだ。
:俺だけ|に…俺を気にしてくれて、忙しくて時間のない最中に送ってくれたんだ、って。
だからテンション上がって仕事もサクサク終わらせることができたんだ。
でも…高橋達にも送って、尚且つヘルプにも行ってたって知って…
多分、これは嫉妬…ヤキモチだと思うんだけど…ちょっと落ち込んだ。
“俺だけの希”じゃなかったんだって。
分かってるよ、みんなの上司だもん。
フォローするのは当たり前で仕事としてだから。
でも、何かちょっと…」
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