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第812話

「ご馳走様でした!希、ありがとう。」 あの甘ったるいケーキを3個ともペロリと平らげた斗真は、テーブルに散らかった銀紙やら、コーヒーカップ、溶けたアイスが半分残ってゴミと化した物やらをさっさと片付けて、洗面所に行ってしまった。 そして無言で寝室へと入っていった。 何? まだ拗ねてるのか?完食したのに? 頭を捻りながら歯磨きを済ませ、斗真のいる寝室のドアを恐る恐る開けた。 「斗真?」 こんもりと布団に固まりができていた。 潜ってやがる。 布団の端をめくって滑り込むと、ダイレクトに素肌が触れた。 !? 弄ると、斗真は何も身につけていなかった。 「斗真…」 掠れがちな声でその名を呼ぶと 「…早く脱げよ。待ってんだから。」 これまた掠れた小さな声が、背中越しに聞こえた。 「わっ、分かったっ。」 慌てて脱ぎ始めたせいか所々で絡まって、スムーズに脱げないのをやっとやっとベッドの下に脱ぎ落とした。 そして背中を向けている斗真にそっと寄り添い、くっ付いた。 「とーま…」 少し冷たくなってた身体が、斗真の体温で段々と温まっていく。 斗真がゆっくりと身体を俺の方に向けた。 「希…疑ってごめん。 分かってるのに…分かってるのに、信じなくてごめん。」 そう言って胸に擦り付いてくる斗真が愛おしくて、足を絡めて抱きしめた。 (たぎ)ったお互いのものが擦れ合い、背筋を甘い電流が流れる。 はあっ 色を含んだため息をついた斗真は、唇を重ねてきた。 ぺろぺろと唇を舐めてやると擽ったかったのか、顔をずらして避けていくのを追いかけて濃厚なキスを仕掛ける。 それを拒むことなく受け入れる斗真の後頭部を自分に押し付け、なおも口内を舐め尽くしていった。

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