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第816話
翌日いつもより早い時間に、目覚めも爽やかに起き出した俺達は、一緒にシャワーを浴びて(ちょっと嫌がる斗真のお世話をしてやって)、一緒に朝御飯の準備をした。
相談して弁当は作らなかった。
いつ昼休憩も取れるかどうか分からない一日になりそうだったから。
「また今日も慌ただしい日になりそうだな。
でも、昼飯はちゃんと取るんだぞ。」
「うん、でも何とかなるだろう。
希も人の事ばかり構ってないで、自分もちゃんと休憩取れよ。」
「おおっ、流石だねぇ、斗真君!期待してるよ。
休憩もちゃんと取るから、大丈夫だよ。
斗真…携帯、両方確認しろよ。」
「えっ、あ…うん。分かった。」
少し頬を染めて俯く斗真の頬にキスをした。
斗真のヤキモチの原因となった携帯。
そのお陰で昨夜はたっぷりと愛し合えたから、良しとするか。
取り敢えず、やるべき事はやらないと。
「斗真、キツかったらすぐに連絡してくれ。」
「承知しました、遠藤チーフ。」
顔を見合わせて吹き出した。
そして…抱き合ってキス。
「さ、行くか。」
「うん。」
もう一度、リップ音を鳴らして名残惜しく抱擁を解いて、家を出た。
曇天の空は、今にも泣き出しそうだった。
泣きたいのは俺達だよ、全く。
多少のボヤキは許してもらおう。
そうして昨日と同じく忙しなく動きながら、希の助けを借り、俺も他の奴らのフォローに回り、きょうも何とか事なきを得て、会社に辿り着いた。
今日も、一日中二台の携帯は相変わらずピコンピコンと電子音が鳴っていたが、それらが鳴る度に俺はヤル気が漲ってフットワークも軽かった。
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