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第817話

疲労困憊「お先に」と帰って行く同僚達を見送り、一緒に帰ると約束していた希を待っていた。 今日のご飯は何にしよう。 昨日は外食したし、お茶漬けでもいいから家で食べるか。 冷蔵庫に何があったっけ…鮭の西京漬けがあったな。 それに野菜を沢山入れた味噌汁で簡単に済まそうか。 そうだ、きゅうりの糠漬けも食べないと。 何だか、献立に悩む主婦の脳内だとおかしくなり、込み上げる笑いを押さえ切れずくすくす笑っていると、希が戻ってきた。 「斗真、待たせてごめん!終わったから帰ろう!」 「うん。お疲れ様。もういいのか?」 「ああ。後はプライベートなことだから、ボスに丸投げさ。 とは言え、ボスだって無関係なんだけどね。」 「お気の毒に…」 「まぁ、あの人は上手く収めるだろうよ。 今日はそのまま帰るか?どっかで食べてくか?」 「昨日外食だったから、簡単に家にある物で済まそうよ。 鮭もあるし、味噌汁作るからさ。」 「そうだな。斗真の味噌汁は美味いからな。 じゃ、帰ろっ!」 じゃれ付くように肩を回してくる希に 「まだ会社だから。」 と釘を刺して、肩に回された手を跳ね除けると、途端に希は悲しそうな顔をした。 その顔、反則。 キスしたくて歯止めが効かなくなるのを恐れて見ないフリをする。 「家に着いたらギュウしような。」 「斗真…うんっ!」 おいおい、尻尾が揺れてるぞ。 ご機嫌が復活した希を従えてエレベーターを待っていると、やつれた感じの前川チーフが現れた。 「「お疲れ様です。」」 「お疲れ様です…業務以外の面倒事なんて、いい迷惑ですよね。 あの女を野放しにしていた私にも責任があるので、その点は反省しています。 ご迷惑かけて申し訳ありません。」

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