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第832話
ベルトが上手く外れないのか、焦ったようなガチャガチャという音がする。
何だ、希でも余裕がないのか、今日は。
ごつっ、ばさっ、ぱさっ、と床にスラックスなんかを落として、全身を曝け出した希が俺に跨ってきた。
ぎしっ、と鳴るスプリングの音さえいやらしく感じてしまう。
濡れそぼった切っ先が、ぬめぬめと光を放ち顔に近付いてきた。
青臭い匂いが鼻につく。
あぁ、コレがほしい…
口の中に収めようと唇を開けたのに、希が腰を引いて距離ができてしまった。
何で?
そう思った途端に胸に甘い痺れが走った。
「んっ」
思わず溢れた声に
「斗真の声、ヤラシイ…ココ、好きだよな。」
視線を下にやると、シャツ越しに乳首に吸い付く希の頭と、空いた片方をこれまたシャツ越しに弄る指先が見えた。
一枚の布を隔てた感触がもどかしくて、希の頭を搔き抱いた。
焦れったい。俺達を隔てるたった1ミリもない布のせいで、感度が上がっていくのが分かる。
「そんなこと…なぁ…直接、触ってくれよ…」
「斗真にしては珍しく素直なお願いだな。
でも、これ、気持ちイイだろ?
焦れったくて、もどかしくって…
ほら、見てみろよ。濡れて透けて見えるこの感じ。やーらしいけどかわいいなぁ…」
親指と人差し指で、くにくにと摘み上げたり押し潰したり、濡れた布地が擦れて益々気持ち良くなってしまう。
「うっ…希…や、止めてっ」
拒否と受け取れない吐息交じりの声に、希が突起を爪で引っ掻きながら答える。
「やだ。止めない。
だって斗真、気持ちいいんだろ?
俺だって触ってるだけで気持ちいいんだもん。止めないよ。」
腰が揺れてくるのを止められない。
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