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第846話

「はぁーーっ…待った甲斐あったー! 美味しかったよー!満腹ー!」 「なんだ、その子供みたいな感想は。」 お腹を摩っていたら希に頬を突かれた。 今から遡ること二時間前…俺達が着いた頃には、既に行列ができていて、店の人に聞くと『一時間待ちです』と申し訳なさそうに言われた。 ここまで来て帰るわけにはいかない、と空っ風が舞う中一時間も待って、ようやく入れた店内に人心地ついた。 家族連れにカップル、お一人様もいる。 「俺達、どんな関係に見えるかな?」 「そりゃあ勿論恋人か夫夫だろ!?」 「一目で分かるもんか!」 「だって指輪してるんだから分かるだろ!。 それにラブラブビーム出してるから。」 希の言う“ラブラブビーム”に敢えて突っ込まずスルーして、希はコーヒー俺はカフェオレをそして二人とも噂のクラブハウスサンドと、追加で厚焼き卵のサンドイッチをオーダーしたのだ。 それらを全て平らげてお腹も心も満たされて、車のシートに仰け反って座っていたのだった。 「斗真、天気もいいし、このままドライブでもどうだ?」 「希さえ良ければ、俺は付き合うよ。 久し振りだよな。」 「じゃあ、高速にのってSA巡りでもするか。 何か美味いものありそうだぞ。」 「え?俺小銭入れしか持ってきてないよ?」 「仕方ないな。今日は全部俺が奢ってやるよ。」 「ホント!?やったあ!…でも何か企んでる?」 「何だよ、それ。いや、まあ…帰ったらいちゃいちゃさせて。」 「うっ…身体で返せってか!?」 「そんなこと言ってないじゃん! たっぷり愛したいだけ。」 「………あんま恥ずかしいこと言わないで…」 「愛してるよ、斗真。」 うーーっ…イケメンスパダリ、黙れ。 悶える俺を横目に希が車をスタートさせた。

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