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第849話

そんな俺を見た希が少し顔を曇らせた。 「斗真…飲み過ぎないでって言ったのに…」 「分かってるよ。 量はいつもと同じなんだけど、気分良くて何か酔っちゃったかも。 でも、大丈夫。顔が火照ってるだけだから。 水、ちょーだい。」 希は甲斐甲斐しく水とアイ◯ノンを持ってきて、俺の酔いを早く冷まそうとしている。 ふふっ。大丈夫だって。 寝落ちしたりしないから。 俺が水を飲みアイ◯ノンと戯れ、ネット検索してる間に、希は手早くキッチンの片付けを済ませて、俺の横にへばり付いた。 「とーま…」 「はいはい。片付けご苦労さん。ありがと。 なぁ、ユータ達がここに泊まるなら、シーツとかスウェットとかタオルとか、新しい物揃えたいんだけど。」 「そうだな。出来るだけ出費を押さえてあげたほうがいいよな。いいの?」 「ずっとゲスト用に買わなきゃと思ってたし、俺達が使ってもいいし。 ここのメーカー、オーガニックで肌触りが良さそうなんだ。見てよ。」 俺はタブレットを操作して呼び出した画面を希に見せた。 「へぇ…色もいいな。値段も想定の範囲内。 バスローブもいい感じ。これに決めよう。」 「いいのか?じゃあ、注文してしまおうぜ。」 俺達は顔をくっ付けて、この色がいい、いやこっちだ、とか侃侃諤諤(かんかんがくがく)意見を言い合いながらカートに注文の品を放り込んで決めてしまった。 「なぁ、斗真…マイク達、暫くここにいてもいいの?」 「だろ?せっかく遠いアメリカから来るのにちゃんとしてあげたいんだ。 何なら足伸ばして京都辺りまで一緒に行ってもいいんだぜ? マイクが言うには『JAPANイコールKYOTO!』なんだろ? 『舞妓さん見たーい!』って言ってたぞ。」 「….斗真、ありがとう。 何処に行きたいか連絡してみるよ。」 希はそう言ってそっとキスしてきた。

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