851 / 1000
第851話
希の愛撫で身体の奥に火が付いて、身体が開いて綻んでいく。心はもうとっくの昔に開かれてる。
我慢できない。
俺の身体をこんな風にしたのはお前だよ。
責任取ってくれ。
俺にキスしようとする男の首に腕を回し引き寄せると、うれしそうに微笑みながら唇を寄せてきた。
相変わらず綺麗な顔だな。
彫刻のような顔が近付き、そっと目を閉じた。
鼻にもキスされる。確かここの意味は…『守りたい』。
そうか。責任取って『守って』くれるのか。
俺も…俺も一生お前を『守る』よ。
そんな思いを込めて、希の鼻先にキスをした。
何と交わったのか分からないくらいに求め合って、気が付けば空がほんのりと明るくなっていた。
「…希…もう朝だよ…眠い…寝かせて…」
「分かった。ひと眠りしてからご飯にしよう。
斗真、ギュってさせて。」
俺の返事を待たずに抱きしめてくる希。
俺、シャワー浴びたかったのに。
…でも後始末いつものようにちゃんとしてくれてるんだよな。
それに本当は、身体を動かす元気も気力も残ってない。
重く塞がってくる瞼にキスされて、それを払いのけるのも怠くて、希のしたい放題にされていたが、いつの間にか意識が遠ざかっていった。
ん…いい匂いがする。
お腹空いた。
ゆっくりと目を開けると、俺を抱き込んでいた希の姿はなく、あぁ、ご飯の用意をしてくれてるんだとぼんやりした頭で理解した。
脱ぎ散らかした下着や服を手繰り寄せ、部屋を出ると
「斗真、おはよう!」
無駄に元気な希がキッチンから声を掛けてきた。ご機嫌さんだ。
「おはよう、希。ご飯ありがとう。
シャワー浴びてきていい?」
「いいよ!もう準備できてるから。」
「ありがとう。」
ヨロヨロとした足取りでバスルームに向かった。
ともだちにシェアしよう!