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第852話

シャワーの飛沫を浴びながら、ぼんやり反芻する。 そりゃあ…あれだけ激しくヤって、その後のスキンシップも半端なくって。 っていうか、俺は寝落ちしたから分からないけど…鏡に映る身体中の赤い点々の数を見ると…完全に増えてるから、俺が意識のない間にキスマーク残しまくったんだ、ってのは分かる。 一体何してたんだよ、希。 はっきり言って、ケツも痛い。腰も痛い。 身体中、ギシギシいってる。 でも。 この痛みは希の執着の証拠だと思うと、うれしくて堪らない。 俺って変態?マゾっ気あった!? うーーっ…と思わず唸った。 ヤバい。これがバレたら調教される。 新たな扉を開きそうな気がする…マズい。俺はノーマルなセックスでいいんだ! 取り敢えず、がしがしと身体中を洗い、湯船に鼻まで浸かった。 ぶくぶくぶく…ぷはぁーっ… これはこれの心の中に鍵を掛けて、きっちり仕舞っておこう。 内緒だ、内緒。 コンコン、ガチャ 「とーまーぁ!」 「うわぁ!何だよ、吃驚するじゃないかっ!」 「え?何で?何か隠し事してた?何?」 「違う!何もしてないっ!そっちこそ何だよ!」 「出てくるのが遅いから呼びにきた。 お腹空いたし。」 「…あー、ごめん。身体中痛くって…」 「…あ、それ、俺のせいだよな…ごめん… ゆっくりでいいから上がって。手伝おうか?」 「自分でやるから、大丈夫。」 「そう?何なら拭くの手伝ってもいいんだよ? 念入りに…」 「いやいや。大丈夫だから。すぐに出るからあっちで待ってて!」 残念そうにドアを閉めた希の影が去っていくのを見て、大きく息を吐いた。 やべぇ。アイツ鋭いからバレるところだった… 俺は腰を庇いながら風呂場を出ると、慌てて身体中を吹き上げ…鏡に映る赤い斑点を確認して、またニヤケていた。

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