858 / 1000

第858話

俺は腕の中の温もりを逃すまいと、激しく感情を露わにする斗真を思い切り抱きしめた。 「俺だって嫌だ!斗真と離れるなんてできない! それは、俺に『死ね!』って言うのと同じことなんだ! それなのに、俺はお前の優しさに付け込んで傷付けてばかりで…自分が情けなくって…ごめんな、斗真。 …お前が幸せになる為には、俺は一体…どうしたらいいんだ?」 「ばかっ!! …そんな簡単なこと分かんないのかよ… 俺を…離すなよっ!希になら何をされてもいいんだ!何なら、この命だってくれてやるよ。 だから、だから、別れるとか離れるとか、言わないで… 俺を二度と離したりしないでっ!」 悲痛な叫び声が木霊した。 泣きじゃくる斗真をしっかりと腕の中に抱きしめ、「ごめん、ごめん」とひたすらにキスをする。そんな俺も、泣いていた。 俺達はもう、何があっても離れない。 傷付けても傷付けられても。 俺が斗真を思う気持ちは、あの最初に出会った頃から変わってはいない。 益々深まるばかりだ。 「斗真…ごめん…」 「…謝るくらいなら…ちゃんと俺を愛せよっ!」 「斗真っ!」 顎を掴み、噛み付くようなキスを繰り返す。 零れ落ちる唾液を啜り舐め上げては、また唇に吸い付く。 何度となく繰り返しながら、斗真の服を脱がしていった。斗真を素っ裸にした後、引き千切るようにして自分も裸になった。 そっと胸に触れると、激しい鼓動が手の平に伝わってくる。 未だ涙目の斗真の目尻に口付けると、そのままぎゅうっ、と抱きしめられた。 少し汗ばんだ肌が、しっとりと纏わり付いてくる。まるで『二度と離れない』と言わんばかりに。

ともだちにシェアしよう!