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第858話
俺は腕の中の温もりを逃すまいと、激しく感情を露わにする斗真を思い切り抱きしめた。
「俺だって嫌だ!斗真と離れるなんてできない!
それは、俺に『死ね!』って言うのと同じことなんだ!
それなのに、俺はお前の優しさに付け込んで傷付けてばかりで…自分が情けなくって…ごめんな、斗真。
…お前が幸せになる為には、俺は一体…どうしたらいいんだ?」
「ばかっ!!
…そんな簡単なこと分かんないのかよ…
俺を…離すなよっ!希になら何をされてもいいんだ!何なら、この命だってくれてやるよ。
だから、だから、別れるとか離れるとか、言わないで…
俺を二度と離したりしないでっ!」
悲痛な叫び声が木霊した。
泣きじゃくる斗真をしっかりと腕の中に抱きしめ、「ごめん、ごめん」とひたすらにキスをする。そんな俺も、泣いていた。
俺達はもう、何があっても離れない。
傷付けても傷付けられても。
俺が斗真を思う気持ちは、あの最初に出会った頃から変わってはいない。
益々深まるばかりだ。
「斗真…ごめん…」
「…謝るくらいなら…ちゃんと俺を愛せよっ!」
「斗真っ!」
顎を掴み、噛み付くようなキスを繰り返す。
零れ落ちる唾液を啜り舐め上げては、また唇に吸い付く。
何度となく繰り返しながら、斗真の服を脱がしていった。斗真を素っ裸にした後、引き千切るようにして自分も裸になった。
そっと胸に触れると、激しい鼓動が手の平に伝わってくる。
未だ涙目の斗真の目尻に口付けると、そのままぎゅうっ、と抱きしめられた。
少し汗ばんだ肌が、しっとりと纏わり付いてくる。まるで『二度と離れない』と言わんばかりに。
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