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第866話

いくらムラムラしてても、抱き潰すわけにはいかない。 夕べから射精()しっぱなしだ。 お互いに今の体調では、これ以上体力も保たない。 とにかく栄養補給しなくちゃ。 斗真の頬を軽くぺちぺちと叩き 「立てるか?」 と尋ねると、未だぼんやりとした目を半分開き、こくんと頷いた。 その腕を引き上げ、ダイニングの椅子まで抱えるようにして移動する。 「…ん…眠い…」 「うん、分かってる。 でもちゃんと食べてから寝ような。」 「んー…」 崩れそうな身体を椅子に収めて、厚切りのベーコンをひと口放り込んでやった。 もぐもぐもぐ… 「美味い…」 続いてドレッシングのかかったサニーレタスとトマト。 もぐもぐもぐ… 斗真の目が開いてきた。 スクランブルエッグも。 もぐもぐもぐ… 「…希…パンも食べたい。」 バターをたっぷり付けたトーストをひと口分千切って、これも口にいれてやる。 何だ。目ぇ覚めてるじゃん。 甘えてんのか?こんな斗真はレアだからな。 この餌付けをちゃんと堪能して、ぐっすり眠った後は… 「ありがと。自分で食べる。」 え?もう終わり? まさか俺の妄想に気が付いた? 俺の気持ちを他所に、斗真はパクパクといつもの調子で食べ始めた。 「美味い。」 あー…そんな天使みたいな顔で笑うなよぉ。 俺の邪な気持ちが恥ずかしくなるじゃん。 「なぁ、パンもう一枚食べたい。まだある?」 四つ切りの食パンを二枚平らげた斗真が甘えるように言う。 かわいい。何やってもかわいい。萌える。 「あぁ、あるよ。先に俺の食べな。」 皿に装ってやって、俺の分をもう一枚焼きにキッチンへ戻った。 そうだ、インスタントのスープもあったんだ。 お湯を注いで急いで斗真のところへ持っていってやった。

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