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第871話

バス乗り場には、次から次へとひっきりなしにバスが到着して、案内された通りに順番に人々が乗っていく。 「えーっと俺達は…あと十分くらいしたら呼ばれるよ。」 「ノゾミ、荷物は?」 「バスのトランクに乗せてもらうんだよ。 だからそのまま持って行って大丈夫。」 「OK!楽しみだな。アサクサ!カンコウバス! それと…ユウランセン!」 妙なアクセントでマイクがはしゃいでいる。 その隣でユータがにこやかに微笑んで…相変わらずのいい関係なんだな。 俺達も、彼らの目にそう映っているだろうか… 斗真とユータが何やら小声で内緒話をし始めた。 時折くすくすとかわいい顔して笑っている斗真。 俺は無視か?何だか妬ける。 「どうした、ノゾミ?」 「だって、アレ…」 「いいじゃないか。まぁ、俺も一応妬けるけどさ。」 そして声のトーンを落としてささやいた。 「…ひとまず元気になったみたいで安心した。 実は、俺達を見て何かマイナスの引き金になりやしないか、って心配していたんだけど。 …ノゾミ…図星か…申し訳なかった。」 どうやらあからさまに顔に出ていたようだ。 「…ごめん…お前達が来るって、喜んでいたんだけど…フラッシュバックしたんだ。 俺も…仕事の面で無理させてたし、ずっと普段と全く変わらないから、油断してた。 でも、今は落ち着いてるし、お前達を喜ばせようとあれこれ手配したり考えてくれて、本当に楽しみにしてたんだよ。 だから、今はそのことは考えずに日本を満喫してほしい。 斗真のためにもなるから。」 マイクは大きく頷いて俺の肩を叩いた。 「お前達のことを考えないで日本に来ることを決めちゃって悪かった。 でも、逆に俺達の存在でトーマが強くなることを祈ってるよ。 ノゾミ、すまなかった。」

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