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第874話
「………赤い大きな提灯には『雷門』と書かれ、向かって右側に風神、左側に雷神が配されています…風神というのは……」
そう言って、大きく引き延ばされた赤門と二体の像の写真を見せてくれた。
あははっ、ちゃんと雷様は太鼓を担いでる。
風神様は風袋を靡かせてる。
ガイドさんの太鼓を叩く雷様よろしく、ジェスチャー混じりのユーモラスな説明に、あちこちで笑いが巻き起こる。
見逃してしまいそうな提灯の下の龍の見事な彫刻や、風神雷神の裏の龍神様も迫力がある。こっちは見慣れている『龍』じゃない…イメージが全然違う。
なるほど…浅草寺の護持だけじゃなくて、天下太平に、水を司る神様達が大勢いるから天文関係もか。
視覚に訴えながらの簡潔な興味を引く説明が続く…
「最上級のプレゼンみたいだな。」
そっと斗真にささやくと
「このガイドさん、トークもめっちゃ上手い!
車内の反応、半端ない!希、見ろよ!
みんな、すっげぇ盛り上がってるぜ。
日本人ばかりじゃこんなにならないよ。
いいノリだな。」
マイクもユータも大喜び。
このツアーは大当たりだった。
予約した時に『キャンセル待ちで』と言われ他のツアーにしようと思ったのだが、粘って毎日毎日確認して、何とか四名のキャンセル待ちをもぎ取った。ボスの『ゼッタイ、コレ、コノヒト』のひと言を信じて良かった。
流石、ボス。休暇が終わったらお礼言いに行こう。
俺にとっても凄い勉強になる。何処にヒントが転がってるか分からないもんだ。
感心しながら盛況のうちにバスは停車し、ここから暫く自由行動となる。
バスから降りたマイクとユータは興奮していた。
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