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第885話

向かうのは俺達行きつけの店。 色々悩んだが斗真と相談の結果、京都で完璧な京料理を予約してあるし、こっちではいつも俺達が楽しんで馴染んでいるところがいいだろう、ということになったのだ。 マイクとユータはバスの旅の余韻がまだ残っているのか、道中も夢中で喋っていた。 草書体で書かれた『かしわぎ』の文字が灯りに照らされている。 「こんばんはー!」「お邪魔しまーす!」 「遠藤様!いらっしゃいませ!お待ちしてましたよ。 こちらが遠路遥々お越しになったお客様ね。 Welcome to Japan! Nice to meet you! We hope you'll have a great time.」 女将はとびっきりの笑顔を振り撒き、ゲストの二人に右手を差し出した。 マイクもユータも、にこやかにその手をしっかりと握り「お会いできてうれしいです」とか「料理楽しみです」とか言っている。 女将直々に奥の個室に案内された。それぞれに飲み物のオーダーを確認し終えると、入口にすっと正座した彼女は流暢な英語で 「本日はようこそお越し下さいました。 心を込めてお作りしておりますので、お口に合えばうれしゅうございます。 どうぞごゆっくりお寛ぎ下さいませ。」 と、それはそれは美しいお辞儀をして出て行った。 その様子にユータが 「サトコさんも凄かったけど、ここのオカミサンも凄い! 日本の女性のスキルは何なんだ!?」 「まさに日本のオモテナシだね。その人達だけで経済が動くよ!」 「出会った人が偶々凄い人達でラッキーなんだよ。 日本だってここまでのレベルじゃない人だって大勢いるんだ。全ての女性が完璧だったら俺達の出番がなくなるじゃないか。 丁度良いバランスで成り立ってるんじゃないのか? まぁ、サトコさんもここの女将も半端じゃないけどね。」

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