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第894話

あっさりと仲良く連れ立って寝室に行ってしまった二人を唖然として見送り、リビングに残された俺達は思わず顔を見合わせて吹き出した。 「ぶふっ…何だアイツら…ユータが“おねむ”になった途端に“お休みなさい”かよ。」 「俺達の存在、忘れてるよね? まぁ、いっか。明日早いんだし俺達も寝よう。」 「じゃあ俺片付けるから。斗真先に寝てなよ。」 「いいよ。一緒にした方が早いし。 じゃあ、洗い物して?俺は明日の朝ご飯の下ごしらえしておくから。」 機嫌…直ったのか? 「分かった。」 チラチラと斗真の方を伺うが、いつもと変わらない表情と、そして距離感。 俺の悪戯を許してくれたのか? ベッドで聞くことにしよう。 俺達も連れ立って寝室へ向かった。 ドアを閉め布団に潜り込んだ斗真は、アラームをセットすると、たったひと言 「お休み。」 と言って、くるりと背中を向けてしまった。 え…マジか!? やっぱり怒ってる!? 「斗真?」 声を掛けるが反応がない。 そんな…こんな気持ちのまま旅行になんて行けないよ。 ガックリ落ち込んで、仕方なくもぞもぞと布団に潜り込んだ。 いつもならぴったりとくっ付いて眠りにつくのに、今夜は少し隙間が開いている。斗真の背中が俺を拒否している。 斗真、ごめん、悪かった。こんなの嫌だよ。 「斗真、ごめん。」 少しの沈黙の後 「何が?」 「風呂場で調子に乗ったこと。」 「自覚してるんだ。」 「でも、俺」 「マイク達みたいにイチャつきたかっただけなんだろ?」 図星だ…返事ができなかった。 「俺は『手を出すな』と言ったよな?」 「…うん。」 「俺が人前でイチャつくのは嫌だと知ってるよな?」 「…うん。」 「それなのにどうして人の嫌がることするのかな。」 斗真がキレてる…

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