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第899話
荒い息を吐きながら、斗真が恨めしそうな声で呟く。
「“加減しろ”って言ったのに…全力でクるなよ、バカタレ…」
「ごめん…斗真がかわい過ぎて加減も何もどっかへ飛んで行っちゃった…
あっ、でも中出しはしてな、痛っ!」
「…本当に、もう…こんなことならさせなきゃよかった…」
「斗真ぁ…」
「あぁ、もう、ウザいっ!」
斗真は、腹や胸に飛び散った体液を綺麗に拭い取ると、今度こそ本格的にくるりと背中を向けてしまった。
怒らせた…やっぱり怒らせた。
俺も慌てて取り敢えず自分の身体に付着したものを拭い取ると、斗真の背中に擦り寄った。
拒絶されない…良かった…ホッ、とため息をつく。
「斗真…ごめん…」
肩甲骨の辺りに頭を付け、ごめんねを繰り返す。
斗真は無言だ。ピクリとも動かない。
何度目かのゴメンナサイを言おうと声を掛けようとした。
「斗真…」
「うるさいっ!」
くるりと反転した斗真は俺の顎を掴むと、その勢いとは裏腹に、そっと唇を合わせた。
驚く俺に
「いい加減にいい子で寝るんだぞ、希ちゃん。」
そう言って、またくるりと反対側を向くと、ふうっ、と大きく息を吐いて動かなくなった。
俺は安心するやら、また欲情してくるやら、込み上げる笑いを必死で押さえながら
「はい、お休みなさい。」
とだけ返して、斗真にべったりくっ付いた。
俺の斗真は、俺の嫁は、俺のことを一番分かってる!
絶対に離れるもんか、と擦り付く俺に、斗真が背中越しにくすりと笑った気がした。
どんな俺も受け止めてくれる斗真。
愛してるよ。
目に見えないラブラブビームを斗真に飛ばしながら、俺も目を閉じて夢の世界へと引き込まれていった。
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