900 / 1000
第900話
翌朝アラームより早く起き出した俺達は、順番にそっとシャワーを浴びて、簡単な朝ご飯の準備を始めた。
“おはよう”のキスも忘れずに。
俺が昨夜暴走したのに、斗真はいつもと変わらない。斗真の方が“オトナ”なんだ。
テーブルには、サラダとベーコンエッグ、軽くトーストした食パン、それとインスタントのコーンスープ。
コーヒーのいい匂いがし始めた頃、客人が元気に起きてきた。
「おはよう!ノゾミ、トーマ!
いい匂い〜、お腹空いたぁ!」
「おはよう、ノゾミ、トーマ!あの…シャワー借りてもいい?」
「二人ともおはよう!自由に使って!7時半には家を出るから、よろしく!」
「マイク、ユータ、おはよう!マイク、先に食べて!あんまり時間もないからね。」
マイクが俺の側にやってきて、そっと耳打ちした。
「昨夜 はお互い盛り上がったみたいだな。」
「お前達のせいだろ!」
「…悪かったな。でも、何処に行っても俺達はあんな感じだから。」
「よく体力が持つな…感心するよ。
さ、早く食べて!マイクもシャワー浴びたいだろ?」
「うん。ユータが出たら入れ替わるよ。
トーマ!いただきまーす!」
「はい、どうぞ!」
朝から慌しいが賑やかな食卓で、それぞれに食べて片付けて、荷物のチェックをして…何とか予定の時間に家を出ることができた。
道中、斗真はユータとずっと何やらこそこそと話をしていたが、お互いに肩を叩き合ったりしていた。多分俺達のことだろう。
まだ少し肌寒い花冷えの春の日差しを浴びながら、キャリーケースをゴロゴロ引く俺達四人の珍道中の始まりだった。
ともだちにシェアしよう!