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第902話
本当にコイツらが結ばれて、良かった。
色々あった学生の頃のことを思い出して、ちょっぴりセンチな気分になってしまった。
「希?どうしたんだ?」
斗真が心配そうに覗き込んできた。
相変わらず聡い嫁だな、斗真は。
頭をポンポンと撫で、微笑むと
「いや、何でもないよ。
それより、今日のスケジュールを確認しておこうか。
変更したい所があれば言ってくれよ。」
俺は鞄からファイルを取り出すと、二人にそれを見せて説明を始めた。
三十三間堂→清水寺→東映太秦映画村→広隆寺→天龍寺→嵐山
というコースで、前もって俺に伝えていた場所が全て入っていることに二人は感激して大はしゃぎだった。
ユータは『ハンカシユイ、ハンカシユイ』と呪文のように唱え始め、俺達は正直言って…引いた。
マイクは『映画村ではニンジャとサムライに会わなければ!』と妙にテンションが高く、自分達でネットで調べてきたらしい情報を披露していた。
「そろそろ富士山が見えるよ!」
斗真が教えると、まるで遠足前日の子供のようにワクワクと待ち構えていた。
「今度来る時には富士山に登らなくちゃ!」
「実は俺達も行ったことがないんだよ。
な、斗真。」
「うん。登山なんてしたことがないんだ。
行くならちゃんと準備しなくちゃね。」
「あ!見えた!うわぁ…綺麗だなぁ…」
雲一つない青空をバックに、堂々とした姿。
でもあっという間に見えなくなってしまった。
「あー、見えなくなっちゃった…残念…」
「そうだな。でも、ほら。ちゃんと写メったぞ。
見て!」
マイクの携帯にしっかりと写っていた。
中々の腕前だ。マイクは自慢げに俺達に送りつけて満足していた。
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