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第905話

小川さんの運転はとても楽だ。 楽という言い方は変かもしれないが、安心感がある。 彼は安全運転をしながら、俺達の会話の邪魔にならないように、時折観光案内をしてくれていた。 当然、時間的距離的に素通りする観光名所もある訳で、小川さんの話はとても面白かった。 フリーにしてある明日のコースは、小川さんセレクトにしてもらおうかな。 次は清水寺。ベタだと言われるかもしれないが、海外でも『ここは外さないで』と一番に名前が上がる場所らしい。 ここは小川さんが案内してくれる。 言われるがままに後ろを着いて行き、朱塗りの門に出迎えられた。 “阿”と口を開けた狛犬さんの横を通り過ぎ、説明を受けながら他の観光客と同じペースで歩みを進める。 「胎内巡りをしますか?」と尋ねられたが、三人とも首を横に振るので、そこはスルー。 マイクは早く清水の舞台に行きたいみたいだ。 そう小川さんに告げると「ではせめて大黒さんにお参りを」と言われ、出世と金運をお願いした。 「さあ、お待ちかねの“舞台”ですよ。」 小川さんの声にマイクのテンションはMAXだ。 それでも順番を守って並び、欄干の前に立った彼は、自撮り棒を使って思う存分写メっていた。 勿論俺達も写真に収まっている。 小川さんもさり気なくピースサインをしていた。 「マイク、良かったね。」 撮った写真をユータに見せながら、嬉しそうに笑うマイク。 彼にとったら、ここがメインだったらしい。 満足するまで時間を取って、次は地主神社へ。 “恋占いの石”を説明すると、マイクが面白がって「やってみたい」と言い出した。 ユータがハラハラしながら見守る中、惑うことなくマイクは一発で真っ直ぐに歩き辿り着いた。 「マイク!」

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