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第906話
「凄いよ、マイク!一回で成功したってことは…」
「“恋が成就する”ってことだよな?
でも、俺たちの恋はもう叶ってるじゃないか。」
「じゃあ…しっかり結ばれたってこと?」
「そうだね。ふふっ…」
今にもラブシーンを始めそうな二人をさり気なく引き離し、その場を後にした。
「希、俺達もやれば良かった?」
「そんなことしなくても、俺達は結ばれてるだろ?
『後が混んでるから』って神様に追い出されるよ、きっと。」
「それもそうか。」
イチャイチャを阻止しながら歩いて行くと、小川さんはどうやら俺達のそれぞれの関係に気付いたようだった。
「あの、遠藤様…」
「はい、何でしょうか。」
「ひょっとして…お二人はご結婚なさってますか?」
「あははっ、バレましたか。
そうです。コイツは俺のパートナーで、あの二人もそうです。
すみません、そういうの、苦手でしたか?」
小川さんは頭を掻きながら
「いいえ、滅相もない!
いろんな家族の形態がありますから。
今までも、様々な事情のお客様と接していますから、気になりませんよ。
でも、何て言うか…本当にお互いを信頼し合って尊敬し合って…いいですね!」
あー、やっぱりこの人、いい人だ。
「ありがとうございます。
今日来てくれたのが小川さんで良かったです。」
「こちらこそ、ありがとうございます。」
あははっ
ラブモードを隠し切れないマイクとユータを促して、音羽の滝までやってきた。
「これはですね、それぞれこちらから『学業上達』『恋愛成就』『長寿延命』のご利益がある滝の水なんです。」
「WAO!全部お願いが叶うなんてラッキーじゃん!」
小川さんの説明の英訳をすると、マイクが嬉しそうに言った。
「ところがですね。」
「マイク、そうじゃないってさ。」
「え?何で?」
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