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第907話

小川さんに『どれか一つだけ』と言われたマイクは、ため息をつきながら 「…欲張りはダメってことなんだな。 グリム童話でもお伽話でも、結局欲を出した者は最後に酷い目に合うじゃないか。 うんうん、そうだよな。 じゃあ俺は…『長寿延命』にする! …少しでも長く生きてユータと一緒にいたいから…ユータもそれを選んでほしい…」 「マイク…俺もそう思ってたんだ。」 微笑みあって見つめ合う二人をチラリと見た斗真は 「俺も…恋愛は成就したし、出世欲もない。 たった一つお願い聞いてもらえるなら…ずっと希と元気で過ごしたい…」 と小声でささやいた。 おい、かわい過ぎるだろ、斗真。 「俺だって…お前と一緒に…」 「じゃあ、決まりだな。 おーい、マイク、ユータ! 間違わないように。こっちだよ!」 斗真に先導されてお不動さんにお参りしてから、順番を待って柄杓(ひしゃく)の水を飲んだ。 普通の水の味。 本当にこんなんでご利益があるのか。いや、信じる者は救われる! 「小川さん、お待たせしました!」 「いえいえ、ではここで清水寺とはお別れですがよろしいですか?」 マイクもユータも頷いた。 タクシーに乗り込むと、マイクが 「ニンジャ!次はニンジャだろ? 俺、ニンジャの格好したい!」 「子供みたいだな、マイク。 そう言うだろうと思ってさ…今日はラッキーなことに『コスプレ衣装オッケーの日』なんだってさ! あっちに用意されてる好きな衣装を着て、写真もOK、散策もOK。 ニンジャもあるらしいぞ。」 「ホント!?ヒューッ!テンション上がるー! なぁ、ユータ、お前お姫様になれよ。」 「はあっ!?何で俺が?お前頭沸いてる?」 「だって、かわいいから。」 「…眼科行ってこい…」 俺達は吹き出した。

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