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第909話
妙に間延びのする鼻にかかったワザとらしい物言いの女の子達が目の前に立っていた。
「あのぉ、私達も四人なのでぇ、良かったら一緒に回りませんかぁ?」
「ノゾミ、この子達何言ってんの?なんか用?」
「きゃあっ!英語!カッコいい!」
「ね、だから言ったでしょ!」
「一人ずつカップルになって…ね?」
俺は盛大にため息をついて、英語でマイクに答えた。
「『一緒に回りたい』って、逆ナンされてる。
速攻断るぞ。」
「はっ、面倒臭い。蹴散らしてくれ。」
「りょーかい。」
俺は立ち塞がって動こうとしない女の子達に向かって言った。
「悪いけど、俺達はデートの真っ最中なんだ。
邪魔しないでくれないかな。」
「え?デート?何処に彼女が?」
「とにかく、そこどいて。
言うこと聞かないなら警備員呼ぶよ。」
「何よっ、ちょっとイケメンかと思って!
みんな、行こう!」
悪態をつきながら、わらわらと蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。
「何だ、あれ?サトコさんやオカミサンと大違いだね。」
「あんなのもいるってことさ。
さ、気を取り直して行くぞ!」
斗真がそっとささやく。
「お前にしてはえらく冷たい対応だったな。」
「当たり前だろ?嫁と親友達とダブルデートを楽しんでる真っ最中に、変な横ヤリ入れられたら流石の俺も腹が立つよ。
おまけにあんな女ども。」
くっくっくっ
「気の毒で見てられなかったよ。
あ、マイク達が呼んでる!おーい!」
土産物屋に食いついてる二人を追い掛けて、斗真が走って行った。
斗真、なーんにも分かってねぇな。
お前の色気ムンムンだってこと。一緒にいる俺、頭クラクラするよ。
あー!早く抱きてぇ。
そんな邪な俺の思いを知ってか知らずか、振り向いた斗真が満面の笑顔を見せた。
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