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第911話
「渡ってみるか?」と聞いたけれど、マイク達はあまり、興味がないようだったので、渡月橋は渡らずに眺めて写メって…
斗真は渡れずに少し残念そうだったけれど。
「今度はゆっくり二人で来ような。」
斗真にこっそり告げると、ふにゃりと微笑んだ。
反則。かわい過ぎる。
早速いつ休みが取れるか、脳内カレンダーを働かせた。秋頃…長期の有休、二人分もぎ取れるか…
これまた仕事に精を出さねば。結果を出さないと大手を振って休みなんか取れない。
あれこれ考えながらも、立ち止まっては店に入りかけるマイクとユータを急かして土産物屋を抜け、幾つかの門をスルーして正門に辿り着いた。
「やっぱ真正面から入らないとな。」
ユータはワクワク感満載の顔をして一番先に入って行く。
「ユータはノゾミの影響で日本文化が大好きなんだよ。
時々俺のことを忘れるくらいにね。」
マイクが少し悔しそうに言った。
「マイクだって!人のこと言えないよ!」
「まぁまぁ。その喧嘩は俺のせい!?」
「ははっ!冗談だよ、冗談。
ここでは“テイエン”と“リュウ”を見なくっちゃ。」
どうせなら、と縁側からも見れるように拝観料を追加で支払う。
ユータはそんなに日本が大好きだったっけ?
確かに日本のアニメにはまっていたけれど、仏像や歴史まで好きになってたとは思わなかった。
龍の天井図が見れる法堂 を目指して歩く。
「京都にもいくつか龍の天井図があるんだって。」
「へえ…そうなんだ。」
「日本に住んでるのに、俺たちの方が知らないことが多いよな。
ユータは本当に日本が好きなんだね。」
「四季が美しいだろ?それに繊細な工芸品!
人も優しいし、“オクユカシイ”。」
「“奥ゆかしい”なんて言葉、廃れてきてるけどな。」
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