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第912話

順番待ちの列につき、ユータの日本うんちくを聞きながら待っていた。 よく調べてるよな、感心する。 どんだけ好きなんだよ。 やがて俺達の番が来て… 「うわぁ…凄っ…生きてるみたいだ…」 「本当にどこから見ても見られてるよ。」 「でかーーーい!」 「凄いなぁ…見てるよ、見てる…」 360度どこから見ても睨まれてる。 正に八方睨みの龍。 「西洋のドラゴンとは全然違うんだよなー。 上品というか、より神様に近いっていうか…」 「ふーん…そんなもんなんだ。」 「実物を見た事ないから分かんないよな。 よくYouTubeのUMA特集で見たりするけど、あれも影っぽくてハッキリ映ってないしさ。」 「うんうん。本当にいたら怖いけどね。」 ユータが満足するまで見上げてたら首が痛くなってきた。 マイクに促されて、やっと動き出したユータを連れて、今度は二番目のお目当ての庭園へと向かう。 この時期、龍図も庭も特別公開でラッキーだった。せっかく遠いアメリカから来てるのに、見れなかったら残念だし。 本堂に入ると、大きな達磨の絵に遭遇した。 他の観光客に倣って記念撮影をする。 御本尊様にもお参りした後、ここでも襖絵の龍に出会えた。 ユータの喜びようは半端でなく、マイクが 「こんなにリュウ・フリークだとは思わなかった…」 と驚くくらいに。 何にツボっているのか分からないけれど、とにかくユータがご満悦ならばそれでいいか、とマイクと話していた。 ご機嫌なユータを縁側に座らせると、感無量といった表情で静かに堪能していた。 俺達も静かに鑑賞する。 ここから見るのもいいけれど、角度を変えて、別の場所に移動する… 「うわぁ…ここも凄い!」 「広いなぁ…絵画みたいだね!」 「遠景の山々も庭園の一部みたいになってるから、余計に凄いんだよ。」 「日本って、サイコー!」

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