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第913話
移動した外からも眺める。
うん、ユータじゃないけど日本っていいな。
日本人で良かった。
ぼんやり眺めていると、遠慮がちな斗真の声が…
「希、時間大丈夫?」
「おっ、そんな時間か!?
よし、急ごう!マイク、ユータ!歩くぞ!」
優秀なタイムキーパー斗真のお陰で時間修正をして、北門を目指して歩く。
万歩計つけてたら結構な歩数になってるだろうな。
俺達みたいな観光客の群れがアリンコみたいにぞろぞろと続く。
間もなく着いた竹林も、残念ながら人の群れ。
「竹林撮ってんのか人撮ってんのか分かんないな。」
ボヤくマイクに
「みんなそう思ってるよ。」
とユータが返す。
取り敢えずその美しさを堪能してひたすらに歩いた。
「これだけ歩けば晩ご飯は絶対に美味いぞ。
な、希。」
「そうだな、もうお腹空いてきた…普段外回りしてるとはいえ、こんなに歩く事はないからな。」
「ノゾミー、お腹空いた!」
「ユータも!?俺もー!」
「小腹に何か食べてもいいけど…我慢するー!」
「よしよし。せっかくのご馳走が入らなくなると困るからな、もう少し我慢して。
あ!小川さんのタクシー発見!」
笑顔で手を振る小川さんと合流し、今夜の宿へと運んでもらう。
賑わいを見せる京の街中を走る車内で、マイクが今日撮った画像を見せてくれた、というか見せびらかしていた。
どの写真もみんな笑顔で、俺も斗真もほっと一安心して顔を見合わせ微笑んだ。
「さぁ、着きましたよ。今日一日乗りっぱなし歩きっぱなしでお疲れでしょう。
どうぞ美味しいものを沢山食べて、ゆっくりお休み下さいませ。
明日8時20分にはお待ちしております。
今日も一日ありがとうございました。」
小川さんは、出迎えた旅館の人に荷物を丁寧に渡した後、にこやかに去って行った。
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