913 / 1000

第913話

移動した外からも眺める。 うん、ユータじゃないけど日本っていいな。 日本人で良かった。 ぼんやり眺めていると、遠慮がちな斗真の声が… 「希、時間大丈夫?」 「おっ、そんな時間か!? よし、急ごう!マイク、ユータ!歩くぞ!」 優秀なタイムキーパー斗真のお陰で時間修正をして、北門を目指して歩く。 万歩計つけてたら結構な歩数になってるだろうな。 俺達みたいな観光客の群れがアリンコみたいにぞろぞろと続く。 間もなく着いた竹林も、残念ながら人の群れ。 「竹林撮ってんのか人撮ってんのか分かんないな。」 ボヤくマイクに 「みんなそう思ってるよ。」 とユータが返す。 取り敢えずその美しさを堪能してひたすらに歩いた。 「これだけ歩けば晩ご飯は絶対に美味いぞ。 な、希。」 「そうだな、もうお腹空いてきた…普段外回りしてるとはいえ、こんなに歩く事はないからな。」 「ノゾミー、お腹空いた!」 「ユータも!?俺もー!」 「小腹に何か食べてもいいけど…我慢するー!」 「よしよし。せっかくのご馳走が入らなくなると困るからな、もう少し我慢して。 あ!小川さんのタクシー発見!」 笑顔で手を振る小川さんと合流し、今夜の宿へと運んでもらう。 賑わいを見せる京の街中を走る車内で、マイクが今日撮った画像を見せてくれた、というか見せびらかしていた。 どの写真もみんな笑顔で、俺も斗真もほっと一安心して顔を見合わせ微笑んだ。 「さぁ、着きましたよ。今日一日乗りっぱなし歩きっぱなしでお疲れでしょう。 どうぞ美味しいものを沢山食べて、ゆっくりお休み下さいませ。 明日8時20分にはお待ちしております。 今日も一日ありがとうございました。」 小川さんは、出迎えた旅館の人に荷物を丁寧に渡した後、にこやかに去って行った。

ともだちにシェアしよう!