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第923話
思わず希に哀願する。
「…希ぃ…もう、我慢できない…」
「俺もだっ…斗真、一緒にイくぞっ!」
切羽詰まった伴侶の掠れた声。
両手で腰を掴まれ、一際強く数度打ちつけられた。
「ああっ」「うぐっ」
ほぼ同時に達した俺達は息を荒げ、激しく弾むお互いの鼓動を感じながら抱きしめ合っていた。
じっとりと湿り気を帯びた肌の熱が、少しずつ治まっていく。
希が一つ大きく深呼吸をして、俺の首筋にキスをした。
不意打ちのキスに反応した俺の後孔が、きゅ、と締まったせいで、まだ俺の中にいた希が呻いた。
「うっ…斗真…」
「ごめん。お前が急にキスするから…」
「ゴム抜けそうだから…一旦出るぞ。」
そう言いながら、希がずるりと出ていく。
うくっ…襞を根こそぎ引っ張られるような感覚がする。
背中をぞくぞくと甘美な痺れが走る。
ぬちぬちと音を立てて希が出て行った。
ヒクつく後孔は希の大きさのまま。
「ほら…こんなに出たぞ…」
俺の目の前に、うれしそうに雄のシルシをぶら下げて自慢する希に、冷たい視線を送る。
今夜も、隣の部屋のマイク達の声に煽られた形になった。
何やってんだか。
くっくっくっ…何だかおかしくなってきた。
「…風呂入ってくる。」
「とーま、俺も♡」
「……………」
無言の答えをYESと受け取った希が、俺の手を取り風呂場に向かう。
うっ、腰痛いかも。
「…もう、ヤらないからなっ。」
「はいはい。」
軽くいなされて少しむくれる俺の頬にキスして、希は鼻歌を歌いながら、俺の身体を洗い始めた。
「自分でするから。」
「いいの。俺がしたいから。」
「変なことしてくんなよ。」
くっくっっ…喉を鳴らして希が笑う。
「はいはい。」
もふもふの泡で身体を撫でられて、ぴくぴくと反応してしまう。
お互いに何も言わない。
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