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第927話
希がフロントに行っている間に、俺達は仲居さんにお礼を言って外へ出ると、小川さんが駐車場で待っていてくれてた。
「みなさーん!おはようございます!
ぐっどもーにんぐ、えぶりわん!」
ベタベタな日本語英語がかわいくてならん。
マイク達もにこやかにハグしながら挨拶してる。
希もやってきて、小川さんと打ち合わせを始めた。
俺はそれを聞きながら英訳し、このプランでいいか、他に希望はないかマイク達に確認した。
指でOKサインをする二人を見た希が、小川さんにそれを伝えた。
キャリーケースを載せ、次々に車に乗り込んだ。
ユータの興奮が半端ない。
何せ今日は憧れの“あの人”に会えるからね。
マイクは嫉妬したりしないんだろうか。
こっそりと希に聞いてみた。
「なぁ、希。」
「ん?どうした?」
「マイクって、その…やきもち焼いたりしないのか?」
「その辺は大丈夫みたいだよ。
現実に生きているお方ではないから。
アニメキャラ的な存在というか、別次元の存在らしい。
マイクだって、二次元のお気に入りキャラがいるらしいから、お互い様なんじゃないか?」
「ふーん、そうなんだ…」
「何?浮気っぽくて嫌なの?」
「そうじゃなくて…パートナーがいるのに、その目の前で他の人のことを恋しく公言するのはどうなんだろう、って思っただけ。
あ、批判してるんじゃないよ!誤解しないで。
俺だったら、どうするかなーって。」
「斗真は胸に秘めて隠しそうだな。
大っぴらに言う方じゃないし。」
「俺もそう思う。
逆に希にそれやられたら、引くかもしれない。」
「あー…そんな気がする。
まぁ、俺の場合は他に目移りしたりしないからな。斗真一筋だもん。」
真っ直ぐに見つめられて、目が泳いでしまう。
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