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第933話
大きな荷物を引き摺りホームに降り立った俺達は、取り敢えず一旦家に戻ることにした。
外食続きで、それはそれで楽だし美味しかったのだけど、ゆっくりと家で過ごしたくなったのだ。
希は勿論、マイクとユータも両手を上げて大賛成だった。
食材を買い込み(ここでもマイクとユータは日本のスーパーが珍しくてはしゃいでいた)、凱旋よろしく家に着くと、荷物もそっちのけでリビングに転がった。
暫くゴロゴロと転がった後、早速支度に取り掛かった。
希がキッチンで準備をしている間に、俺はマイク達のも合わせて洗濯を担当する。
今夜は鍋だ!
ユータは希にあれこれと鍋の具材や味付けについて聞き、手伝いもしてくれていた。
そっちは彼らに任せて、マイクと俺はそれぞれ二人分の荷物の整理をする。
あ、その間に風呂の準備も忘れずに。
「トーマ、君達は本当に無駄な動きがないんだな。お互いが何をすればいいのか、ちゃんと理解して尚且つそれが自然だ。」
「マイク達だってそうじゃないか。
君達もいいパートナーなのが凄くよく分かるよ。」
顔を見合わせて笑い、拳同士を合わせる。
ふとマイクが真顔になった。
「トーマ、ちょっと聞きたいんだけど…ユータに何か変わったことなかったかい?」
「いや、特に変わったこともなかったようだけど…どうしたの?何かあった?」
ふぅ…と大きくため息をついたマイクは
「実は、この間からユータの様子がおかしくて…
何かこそこそ隠し事をしてるみたいで…
まさか、俺以外の誰かを」
「マイク!それはないよ!
今日一日のユータを見てたら分かるじゃないか!
君のことだけを思ってるって…それは感じてるだろう?」
マイクは叱られた子供のように、大きな身体を縮こまらせて俯いた。
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