934 / 1000

第934話

俺はどうしたものかと考えながら 「…分かった。 思いが強過ぎる分、何かマイクに言えなくて悩んでいることがあるのかもしれない。 後でそれとなく聞いてみるから、俺とユータと二人になるように協力してくれる? 希にも伝えておくから。」 「トーマ…ありがとう! 心変わりをするなんて思ってないんだけど…でも、やっぱり心配で。 悩みすら言ってもらえない、信用されてないのかと思うと辛くて…」 俺は頷きながら 「愛おしく思えば思うほど『心配かけちゃダメだ』とか『こんなこと言えない』とか思っちゃうんだよ。 解決できるように、俺も頑張って聞いてみるから。」 「トーマ、ごめん。ありがとう…」 そこへユータがやってきた。 「二人で何しんみりしてんの? もうすぐご飯できるよ!」 「お腹が減って倒れそうなんだ。 な、トーマ?」 「うん。駅弁だけじゃ足りなかったな。 それで?鍋は上手くできた?」 「勿論!あのパックに入った出汁はいいね! 本当にいい味出てる。残りは『雑炊』にもできるんだ、って希が言ってたし、それも楽しみ!」 「先にお風呂に入っておいでよ。 その方がリラックスできるよ。」 「そうだな…じゃあ、甘えてお先にそうするか。」 上手く誤魔化せたかな? マイクがユータを促してバスルームに連れて行った。 よし!今がチャンスだ! 俺はキッチンに駆け込むと、粗方出来上がった鍋に満足気な希に、さっきマイクから聞いたことを耳打ちした。 「…ふーん…俺には普通のユータに見えたけど…うん、分かった。 斗真とユータが二人になるように誘導すればいいんだな? オッケー、分かったよ。俺がマイクに相談があるからって隣の部屋に連れて行くよ。」 流石話が早い。

ともだちにシェアしよう!