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第935話

「じゃあ、そっちの段取りは頼むよ。」 「任せとけ、ダーリン♡」 ちゅ、と唇を奪われた。 コイツ…アメリカナイズに戻ってきてる… 人前でベタベタするのも、キス…するのも、お構いなしのなし崩しになってる…ここでちょっと釘刺しとかないとな。 「希。」 「何だ?」 「人がいるのにベタベタするの止めろ。」 「…斗真、ひょっとして怒ってる?」 「うん。」 「…ベタベタするから?」 「うん。前の希に戻ってる。恥ずかしいから止めろ。」 「…善処する…」 思う節があったのか、途端に項垂れた大型犬を見て、これくらいにしておくか、とこれ以上追い詰めるのは止めておく。 「…その代わり…二人っきりの時は、いつもみたいに…」 「とーまぁ!」 ハグされて顔中にキスされる。 だから言ってるじゃん!ここは日本だ! 慎ましやかな奥深い行為を良しとする国だ! そんな心の声を無視してキスしまくる希に呆れながら、それを嫌だとは思わない自分にも呆れる。 どんだけ希のことが好きなんだよ。 マイクとユータが何か話している声が聞こえてきた。 「希、人前は だ・め・だ!」 もう一度念押しし、腕をぐいと押して離れた。 バタン 「お風呂ありがとう!やっぱり日本はいいねぇ!」 間一髪、セーフ… 感嘆するマイクをニコニコと見守るユータ。 どう見たってユータは君にベタ惚れだよ。 さて…マイクだけが感じるユータの微妙なズレって何なんだろう。 上手く聞き出すことができるだろうか。 「斗真、も入るぞ!」 “?“”って言った? ?マークが頭に飛び交う俺の手を取り、希に連れて行かれた。 「ちょっ、希!“達”って何だよ!? 入るなら先に」 「マイク達待ってるんだから早くしないと! 一緒に入った方が早いだろ? …手ぇ出さないから、そんな警戒すんなよ。」

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