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第947話
ユータの手には紙袋があった。
「ユータ、急にいなくなるから心配したよ!
で?何買って来たんだ?」
「ごめんごめん。心配かけてごめんね。
ちょっと気になる物を見つけちゃって、思わず…
あぁ、これ?同僚達にお土産。」
「そっか。旅行に行くとお土産も大変だよな。」
「うん。海外となると特にね。」
ユータはそれをいそいそとリュックに片付けると
「あとさ、『電気圧力鍋』を買いたいんだよ。
すっごく便利らしいんだ。
これを使うと短時間で格段に美味くなるらしい。」
「あ、知ってる!俺達も今度買おうと言ってたんだ。な、希?」
「そうなんだよ!いろいろ調べて比較してからって思ってたんだ。」
「俺は絶対に買って帰りたい!ちょっと付き合ってくれる?」
「OK!マイクの方はもういいのか?」
「あぁ。十分だ。ありがとう。」
次第に増えていく人の多さに驚く二人を連れて場所を移動し、何種類も並ぶ電気圧力鍋のコーナーに辿り着いた。
「ネットで見たやつだ!
へぇ…思ったよりコンパクトなんだな。
どの機種がどんな機能に優れてんのか分からないね。」
「こんな時は店員さんを呼ぼう!
ちょっと捕まえてくる!」
丁度バックヤードから出てきた店員さんを希がゲットしてきた。
にこやかな笑顔を振り撒く、丸眼鏡の年配の男性だ。何かいい人そう。
ネームプレートには『マネージャー』という肩書きがあった。
俺達の矢継ぎ早の質問にも動ずることなく、マイクやユータに対しても英語で答えている。
よく作る料理を聞いて、一番使いそうな機能なんかを分かりやすく説明してくれた。
その上でお勧めのメーカーを二種類ずつ選んでくれた。
やるなぁ、このおじさん。
マイクとユータは交互に触りながらどっちにするか迷っている。
俺と希は…二人の意見がすぐに一致した。
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