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第949話

決して悪い人ではない。所謂“いい人”だ。 大物過ぎて、『こんなお付き合いさせてもらってもいいのか?』と、ちょっとビビる時もある。 ただ若者大好きなお節介焼きの好好爺で、構いたがり。 幅広い人脈のお陰を被ることも多々あり、上得意だし無下にはできず、それなりにお付き合いさせてもらってる。 話好きなので、そのお相手をする時間が俺にとっては苦手なんだが、まぁ希が一緒なら… お願いを聞いてもらったからには、暫くは彼の言うことを受け入れねばならないだろうな。 ちろん、と咎めるような視線に気付いた希は 「大丈夫。埋め合わせは俺が全面に表に出るから。」 と俺の肩を軽く叩いた。 はぁ…でもマイクとユータが喜んでるから、まぁいいか。 俺も希の肩を叩き返しタクシーを拾い掛けたが、マイク達の『電車に乗りたい』とのリクエストで駅に向かった。 開始時間までには十分時間があった。 希が案内所に行ったので、俺達三人は物珍しさできょろきょろしながら写メっていた。 まもなく戻ってきた希は 「お待たせ!何と!一階桟敷席だぞ…と言っても俺もよく分かんないけど…まぁ後のお楽しみと言うことで。 時間もあるし、体験型のギャラリーがあるからそこに行ってみようか。」 思わずググったら、一階桟敷席って、めっちゃいい席みたいだ。 うおっ…値段もいい…希に出してもらおう… 俺の無言の心の声が聞こえたのか、希が声を殺して笑っていた。 イヤホンガイドを借りて写メって。結構な時間潰しになった。 いいなぁ、日本。昔から続くもの、伝統って凄い。 単純に感動した。 「さぁ、そろそろかな。マイク、ユータ、行こうか。」 希に先導されてついて行くと…

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