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第956話

良い感じのほろ酔い加減でマンションに戻り、順番に風呂に入ると、希が「今夜で暫く会えないから」と、晩酌の支度をしてくれていた。 全員揃ったところで「本当にありがとう!」とそれぞれにハグをして、ユータは俺の、マイクは希の隣に陣取って座った。 それから、観光したところの感想やら、ユータのやりたい仕事の話に力が入り四人で雑談していたのだが、いつの間にか希はマイクと、俺はユータとに分かれて二対二での会話が進んでいた。 「それで?マイクは納得してくれたんだろ? じゃあ、迷う必要ないじゃないか。」 「でもさ、“俺のために何かを我慢をする”ってのが、やっぱり嫌なんだよ。」 「ユータは離れ離れで暮らしても我慢できるの?」 「それは嫌だ!」 「とにかく!帰国したらすぐに君達の上司と話するしかないよね。 マイクは第一希望がダメでも二手、三手を考えてるみたいだから、心配しなくても大丈夫だよ。」 「…それでいいのかな…」 「マイクがいいって、言ってるんだもの。 甘えちゃいなよ。 その方がマイクだって嬉しいはずさ。」 「…もし、ノゾミが転勤とかになったら、トーマはどうする?」 「俺?…そうだな…転勤希望が通らなければ、仕事辞めて一緒に行くな、きっと。 今の俺は、希と離れることなんて考えられない。 希がいなくちゃ、生きていけなくなってるんだ… 特に以来、希に依存することが多くって…希が側にいないとダメなんだ、俺。」 「そうか…確かにあれは辛い出来事だったから…守れなくてごめんね、トーマ。」 「ううん、もう大丈夫。 君達が助けれくれたじゃないか。ユータが気に病む必要はないよ。 みんなの…希のお陰で立ち直ってるから…大丈夫。」 ユータがそっと俺の手を包み込んだ。

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