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第957話

「トーマ…優しい君にずっと幸せが降り注ぎますように…」 ユータは俺の手を両手でそっと包み込み、目を瞑って祈ってくれた。 俺も…祈らずにはいられなかった。 (優しいユータが愛する伴侶(マイク)とずっと幸せに過ごせますように…) ふっと目を開けると、にこやかに微笑むユータがいた。 視線が合い、くすくすとどちらからともなく笑っていると 「…お前達は本当に仲良しだな…」 少し不機嫌な声が…希だ。 ユータが反論する。 「そうだよ!俺達はノゾミ以上に親友なんだ。 別れを惜しんでもいいじゃないか!」 「悪いとは言ってない。 けど、斗真は俺のだからな!」 一瞬、ぽかんと大きく口を開けたユータとマイクが、お腹を抱えて笑い出した。 「…あははっ…ノゾミ…焼きもち、焼いてるぅっ…あー、お腹痛〜い!」 「どんだけ束縛すんの!? おい、トーマ、こいつとんでもない焼きもち焼きだぞ!」 ぷうっ、と頬を膨らませた希は俺を背後から抱きしめて 「だって、斗真は俺のだから…」 と小さな声で言った。 首筋に擦り付いてくる希の頭を撫でてやり、心に生まれる優越感に浸りながら 「俺は希だけのものだから。」 とささやくと、腕に込められる力が強くなった。 こんな束縛が嬉しくて堪らない。 希だけの俺。 俺だけの希。 そんな俺達を生あたたかく見守っていたマイク達は 「あーぁあー、やってらんねー。 最後の最後までバカップルぶりを見せつけられるなんて!」 「マイク、いいじゃないか! 俺達の大親友は心の底から愛し合ってるんだから。ね!?」 こくこくと頷く俺達に 「酔いが回ってきたよぉ! お休み、ノゾミ、トーマ。いい夢見ろよ!」 「お休み、ノゾミ、トーマ。 明日起こしてね!」 俺達を残して行ってしまった。

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