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第965話
噂通り行列ができたその横を優越感に浸りながら入店する。
来日が決まってからすぐにアクセスした希のお陰で、俺達は運良く予約が取れていたのだ。
「あれは一時間待ちだな。」
「いやいや、さっき聞いたら二時間待ちだってさ。そうまでして食べたいのかな。」
「だってすっげぇ美味いらしいからな。
俺達だって丁度キャンセルが出たから予約できたんだし。そうじゃなけりゃあの行列の中だったさ。」
「じゃあ、思う存分食べないと!」
周囲を気にしつつ希とこそこそ話しながら席に案内された。
「うーん、いい匂い!
お腹がぐうぐう鳴ってるよ。ねぇ、取りに行ってもいいかな?」
「勿論だよ、マイク。好きなだけどうぞ。
さ、俺達も!」
希に促されて、ユータと一緒に最後尾についた。
「あっ!天ぷら!ステーキもあるっ!」
「良かった、ユータの好物だらけだね。」
「うん!あっ、茶碗蒸し!エビチリ!」
「和洋中、何でもござれだな。
マイクもユータも、アレルギーも好き嫌いもなくて良かったよ。
あははっ、マイクなんてもうあんなとこにいるぞ。」
見ると、マイクが俺達より数メートル先にいた。
お皿は既にてんこ盛りになってた。
「あの調子じゃあもう一回並び直すな。全種類制覇しそうな勢いだ。」
マイクは一旦テーブルにトレイを置くと、また最後尾に並び直した。
「…ユータ…食費が大変だろ?」
「くくくっ…その分稼いでもらってるから大丈夫さ!
それにしても…一度に取り過ぎだろう…」
健啖家のマイクは、俺達の言うことなんてどこ吹く風で、次々と食べたい物を乗せていた。
そして、俺達の視線に気付くとピースサインを寄越した。
「俺も食べるぞー!」
ユータも笑いながらピースを返して、綺麗に盛り付けていく。
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